トップ > オリジナルコラム一覧 > 大野Pの【SFファンで何が悪い!?】(現在位置)
押井守監督の映画監督論&毒舌たっぷりの書籍『勝つために戦え!〈監督篇〉』を2月下旬に出します。
現在絶賛編集作業中ですので、発売の折にはよろしくお願いいたします。
第8回 コズミックレイの彼方に――ラリー・ニーヴン『リングワールド』-2010.01.25
スペースオデッセイ(宇宙の旅)も第2部な2010年になりました。次の第3部となる2061年に自分が生存している可能性はかなりに低かろうと思うと、すこしシミジミします。モノリスや今日はどこまでいったやら、といった感じでしょうか。
そんな年の松の内の前後に、目玉おやじの声優・田の中勇に元プロ野球選手・小林繁、若い人は知らないだろうミッキー安川や浅川マキといった、個性あふれる方々の訃報が届きました。そして、その中には柴野拓美=小隅黎(宇宙線をコズミックレイからつけられたペンネーム)の名もありました。享年83。
ちょうど冬のコミケで、作家の山本弘氏による『僕らを育てたSFのすごい人』という柴野さんへのインタビュー同人誌を買って読んだばかりでしたので(発行は夏)、びっくりしてしまいました。
僕は挨拶を1、2度したくらいで、お仕事をご一緒したことも、キチンとお話したことなかったのですが、柴野さんの果たした役割の重要さはSFファンとしては当然は知っていました。柴野さんは日本最初のSF同人誌「宇宙塵」の創設者(1957年創刊)であり、日本にSFを根付かせた功労者のひとりです。
日本のSFは「翻訳:海外作品の紹介」と「創作:作家の育成」と「ファン活動:読者の誕生」のみっつがうまく関わりあって発展してきました。そして柴野さんは、翻訳家としてラリー・ニーヴンやJ・P・ホーガンのを「宇宙塵」で作家の育成をはかり(同人だった作家は星新一小松左京筒井康隆光瀬龍眉村卓平井和正梶尾真治山田正紀などなどと豪華絢爛)、ファン活動の中心人物として全国のファングループの連帯をはかったり初のSF大会を主催したりと、そのうちのふたつを長く担っていた。つまり彼がいなければSF大会は無く、DAICONフィルムも生まれず、ガイナックスも『エヴァ』もなかったのかもしれないのです(歴史にイフはありませんが)。
また柴野さんはペンネームの小隅黎として、より日本アニメに関わっています。
アニメファンのみなさん、一度は見たことがありませんか? 古くは『宇宙エース』から『ガッチャマン』『キャシャーン』『テッカマン』と、かつてのタツノコプロ作品では、「SF考証 小隅黎」というテロップが流れていました。このあたりのことは上記の『僕らを育てたSFのすごい人』で詳しく書かれています。ネットからでも購入できるようなので、興味のある方はググってみてください。
と、この流れだと柴野さんが関わった作品で、アニメ化・映像化を希望する作品を挙げなければいけないのでしょうし、となると一番ビジュアルイメージがつよいのはニーヴンの『リングワールド』になるのでしょう。
ダチョウとケンタウロスを合わせたような臆病で賢いパペッティア人(彼らの築いた商業帝国の名はゼネラル・プロダクツといい、これはいわずと知れたガイナックスの旧名にあたる)や、猫型で好戦的な人類の敵クジン人とか、異星人も魅力的だし、何よりも半径一億五千万キロメートル・幅百六十万キロメートル・直径がほぼ地球の公転軌道という想像も出来ない巨大さで恒星を取り巻くリボン状物体〈リングワールド〉がもし映像として表現できるのであれば、それはそれは凄いことだと思うのだが、それって無理なのでは……と思わざるを得ないです。
じゃあストーリー的にはどうかというと、これがまた全然おぼえていない。でかい・探検する・宇宙人が変――くらいな記憶なのです。僕はまったくの文系SFファンでハードSFや宇宙SFには深い愛情をもっているタイプではないので、じつはニーヴンってそこそこは読んでいてもそんなに愛読者ではないのも難点。薄らボケた記憶をたどると、ニーヴンは『時間外世界』のほうがプロット的にはアニメ向きだったような気もするのですが、いかんせんこちらは訳者が小隅黎ではないので、今回のコンセプトから外れます。
ということで――『リングワールド』つくれるやつがいたらでてきてみやがれ! と投げっぱなしのまま締めさせていただきたいと思います。
とにかく、柴野さんお疲れさまでした。
あと、柴野さんが数学教師をしていた都立小山台高等学校は出身で、のちにタツノコで演出家デビューする押井守監督 (ただ、押井さんに以前聞いたところでは柴野さんは定時制の先生だったのでほとんど交流はなかったようです)の映画監督論&毒舌たっぷりの書籍『勝つために戦え!〈監督篇〉』を2月下旬に出します。現在絶賛編集作業中ですので、発売の折にはよろしくお願いいたします。
以下は恒例、年末年始のこの一カ月間(12月中旬から1月中旬)の私の浪費の記録。
いやいやこんな金、リングワールドに比べりゃあ、小さい小さい!
そんな年の松の内の前後に、目玉おやじの声優・田の中勇に元プロ野球選手・小林繁、若い人は知らないだろうミッキー安川や浅川マキといった、個性あふれる方々の訃報が届きました。そして、その中には柴野拓美=小隅黎(宇宙線をコズミックレイからつけられたペンネーム)の名もありました。享年83。
ちょうど冬のコミケで、作家の山本弘氏による『僕らを育てたSFのすごい人』という柴野さんへのインタビュー同人誌を買って読んだばかりでしたので(発行は夏)、びっくりしてしまいました。
僕は挨拶を1、2度したくらいで、お仕事をご一緒したことも、キチンとお話したことなかったのですが、柴野さんの果たした役割の重要さはSFファンとしては当然は知っていました。柴野さんは日本最初のSF同人誌「宇宙塵」の創設者(1957年創刊)であり、日本にSFを根付かせた功労者のひとりです。
日本のSFは「翻訳:海外作品の紹介」と「創作:作家の育成」と「ファン活動:読者の誕生」のみっつがうまく関わりあって発展してきました。そして柴野さんは、翻訳家としてラリー・ニーヴンやJ・P・ホーガンのを「宇宙塵」で作家の育成をはかり(同人だった作家は星新一小松左京筒井康隆光瀬龍眉村卓平井和正梶尾真治山田正紀などなどと豪華絢爛)、ファン活動の中心人物として全国のファングループの連帯をはかったり初のSF大会を主催したりと、そのうちのふたつを長く担っていた。つまり彼がいなければSF大会は無く、DAICONフィルムも生まれず、ガイナックスも『エヴァ』もなかったのかもしれないのです(歴史にイフはありませんが)。
また柴野さんはペンネームの小隅黎として、より日本アニメに関わっています。
アニメファンのみなさん、一度は見たことがありませんか? 古くは『宇宙エース』から『ガッチャマン』『キャシャーン』『テッカマン』と、かつてのタツノコプロ作品では、「SF考証 小隅黎」というテロップが流れていました。このあたりのことは上記の『僕らを育てたSFのすごい人』で詳しく書かれています。ネットからでも購入できるようなので、興味のある方はググってみてください。
と、この流れだと柴野さんが関わった作品で、アニメ化・映像化を希望する作品を挙げなければいけないのでしょうし、となると一番ビジュアルイメージがつよいのはニーヴンの『リングワールド』になるのでしょう。
ダチョウとケンタウロスを合わせたような臆病で賢いパペッティア人(彼らの築いた商業帝国の名はゼネラル・プロダクツといい、これはいわずと知れたガイナックスの旧名にあたる)や、猫型で好戦的な人類の敵クジン人とか、異星人も魅力的だし、何よりも半径一億五千万キロメートル・幅百六十万キロメートル・直径がほぼ地球の公転軌道という想像も出来ない巨大さで恒星を取り巻くリボン状物体〈リングワールド〉がもし映像として表現できるのであれば、それはそれは凄いことだと思うのだが、それって無理なのでは……と思わざるを得ないです。
じゃあストーリー的にはどうかというと、これがまた全然おぼえていない。でかい・探検する・宇宙人が変――くらいな記憶なのです。僕はまったくの文系SFファンでハードSFや宇宙SFには深い愛情をもっているタイプではないので、じつはニーヴンってそこそこは読んでいてもそんなに愛読者ではないのも難点。薄らボケた記憶をたどると、ニーヴンは『時間外世界』のほうがプロット的にはアニメ向きだったような気もするのですが、いかんせんこちらは訳者が小隅黎ではないので、今回のコンセプトから外れます。
ということで――『リングワールド』つくれるやつがいたらでてきてみやがれ! と投げっぱなしのまま締めさせていただきたいと思います。
とにかく、柴野さんお疲れさまでした。
あと、柴野さんが数学教師をしていた都立小山台高等学校は出身で、のちにタツノコで演出家デビューする押井守監督 (ただ、押井さんに以前聞いたところでは柴野さんは定時制の先生だったのでほとんど交流はなかったようです)の映画監督論&毒舌たっぷりの書籍『勝つために戦え!〈監督篇〉』を2月下旬に出します。現在絶賛編集作業中ですので、発売の折にはよろしくお願いいたします。
以下は恒例、年末年始のこの一カ月間(12月中旬から1月中旬)の私の浪費の記録。
いやいやこんな金、リングワールドに比べりゃあ、小さい小さい!




