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とにかく昨年末から〈忙しい〉が、身の隅々までベッタリ張りついてしまっていてこのコーナーを一回パスしてしまった。で、ようやく何とかなるかなとなったら、今回で最終回らしい。――ならばということで、この2ヵ月間のことをランダムに記しながらフェイドアウトしていきたいと思います。

スペシャルコラム

最終回(第9回) 春のオレ的SF幕の内――押井・鶴田・梶尾・吾妻・浅倉・伊藤・山尾……  -2010.03.25 new


 とにかく昨年末から〈忙しい〉が、身の隅々までベッタリ張りついてしまっていたのですが、この1ヵ月はピークだったかも。その結果としてこのコーナーを一回パスしてしまった。で、ようやく何とかなるかなとなったら、今回で最終回らしい。
 ならばということで、この2ヵ月間のことをランダムに記しながらフェイドアウトしていきたいと思う。「映像化したいSF」というコンセプトは、なるべく忘れずにいきたいのだけど、まあなりゆきでいいでしょう。
 まずは自分が作っていた本ということで――

『勝つために戦え!〈監督篇〉』
▲『勝つために戦え!〈監督篇〉』
[著:押井守/四六判ソフトカバー/1,575円]
◆押井守監督の映画監督論『勝つために戦え!〈監督篇〉』
 ――巻末にはスタジオジブリ・プロデューサー鈴木敏夫氏との録りおろし対談も収録。

 この間、TBSラジオの「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で宇多丸に絶賛されていた。ありがたいことです。
 この3年ほどわりと頻繁に押井さんとは会っているのですが、押井さんが撮りたいSFというので話にのぼるのが、光瀬龍『百億の昼と千億の夜』、山田正紀『宝石泥棒』、バラードの短篇(『時の声』とか)といった作品。ちなみに予算のかかる順だそうです。どれでもいいからぜひやっていただきたいです。

『EMANON さすらいエマノン Episode:1』
▲『EMANON さすらいエマノン Episode:1』
[鶴田謙二/原作:梶尾真治/A4変/ロマンアルバム/1,200円]
◆2月にもう一冊。鶴田謙二氏のフルカラーマンガと記事ページで構成したムック『さすらいエマノン/Episode1』

 これは、なぜか昨年末にPerfumeののっちがコンサート中にお勧めしていたとかで一部で話題になった、リュウコミックス『おもいでエマノン』の続編です。原作は梶尾真治氏。一般の人にとって梶尾さんは、映画『黄泉がえり』の原作者として認識されることが多いのでホラー作家と思われているかもしれませんが(いや劇団キャラメルボックスが『クロノス・ジョウンターの伝説』を舞台化しているからそうでもないかな)、リリカルからエロはないけどグロ&ナンセンスまで驚嘆の幅広い作風のSF作家です。
 『おもいでエマノン』は是非とも鶴田さんの絵柄でアニメ化してもらいたいものです。
 鶴田さんがキャラ原案だった『アベノ橋魔法☆商店街』、あの一話目くらい動いてくれたらすばらしいのになあ。あと梶尾さんの作品では、デビュー作の『美亜へ贈る真珠』とかもいまならうまくアレンジして実写映画になるのでは。個人的にはナンセンス系の『地球はプレイン・ヨーグルト』のほうが好きなんだけど。

『失踪入門 人生はやりなおせる!』
▲『失踪入門 人生はやりなおせる!』
[著:吾妻ひでお/インタビュー:中塚圭骸/四六判ソフトカバー/1,365円]
◆3月刊になると、吾妻ひでお氏のインタビュー本(というか、香山リカ実弟にしてハートブレイクモンスター・中塚圭骸氏との対談本)、『失踪入門/人生はやりなおせる!』。

 これは僕が編集長をしている「COMICリュウ」で連載していたのをまとめたもの。
 吾妻さんの新作カット12点に、描き下ろしマンガ『ホームレス再入門』も収録した、ファンなら見逃せないお徳本。ゲストで高野文子さんも参加しています。
 で、吾妻さんのアニメ化というと『おちゃめ神物語コロコロポロン』(原作名『オリンポスのポロン』)なのですが、それはまあ置いておいて、『スクラップ学園』あたり、元京アニの山本寛監督どうでしょうか。そういえばアニメじゃないけど、杉作J太郎監督の『チョコレート・デリンジャー』はいつ撮影再開するんでしょうか? 『海から来た機械』とかも好きだけどなあ。



◆そういえばこの間、東京では都条例改正案として「非実在青少年」なる、「最終兵器彼女」と並べてもおかしくないようなネーミングが登場。
 この件はあまり簡略化して記すと、こぼれ落ちるものが多すぎるような気がするので慎重にしなければしけないと思うけど、それでも簡単にまとめると、児童ポルノ規制の一環として、アニメや漫画などに登場する18歳未満のキャラクターも「非実在青少年」と定義して、その内容・表現を規制しようとするもの。
 いろいろ規定がザルだったり、偏見・曲解があふれていたりしたため、ネット内外で注目を集めた。ツイッターも効果的に活用されたようだ。反対意見がさまざまな箇所からあがったため、審議延長になったのだがどうなるのか。ちなみに私も反対で、「ゾーニングの改良を目指すべき」派なのだが、いろいろ考えさせられた。あー、本つくりたい。

◆2月14日には翻訳家の浅倉久志氏が亡くなられた。
 氏とは、一度ご挨拶したくらいでほとんと面識はなかったのだが、ジワリとショックだった。僕のSFファンとしてのかなりの部分が、浅倉訳の作品によってつくられたものだったのだ。なんといったって、「浅倉久志訳」とついていた本を読んで、面白くなかったことがほとんどないのだ。
 ディック、ヴォネガットは言わずもがなだが、ヴァンス、ラファティ、ハリスン、ティプトリー、ゼラズニイ、バラード、ライバー、とどめにコードウェイナー・スミスとくると、本当に頭を下げてありがとうございましたというしかない。文系SFここに極まれりである。
 なかでも映像化したいものといえば、いろいろ迷うしかないのだが、ウンと気合で決めるとジャック・ヴァンスの《魔王子シリーズ》だろうか。故郷の町を破壊し家族をころした五人の〈魔王子〉への復讐譚であるこの物語は、萩尾望都のカバー絵に飾られ、毎巻(『復讐の序章』『殺戮機械』『愛の宮殿』『闇に待つ顔』『夢幻の書』の全5巻)手に取るのが楽しみでありました。それこそ『巌窟王』の前田真宏監督にでも監督してもらえたら言うことないのに。前田さん、SFファンだしね。

◆あと亡くなられたということでは、本年の日本SF大賞受賞作『ハーモニー』著した伊藤計劃氏は夭折後の受賞ということになった。
『虐殺器官』はいつか映像化されることになるのではないだろうか。

山尾悠子氏のひさしぶりの著作『歪み真珠』が刊行された。
わざわざ予約して神保町・東京堂でのサイン会の整理券までもらっていたのだが、仕事のまっただ中でいけなかったのが悔しい。むかし弊社から刊行され、選集にも収録されなかった『仮面物語』とかなら、アニメ化ぎりぎりいけるのでは。これも真宏さん、どうすか。

◆そうそう、忘れちゃいけないのが「COMICリュウ」
 現在発売中の5月号では、あの『ダーティペアの大冒険』のコミックが連載開始。
 25年前のアニメ作品よりも原作小説に忠実なスペオペの王道作品となる予定。あと、あさりよしとお氏が「アニメージュ」誌上で20年以上続けてきているOVA評ほかのアニメについてのコラムをまとめた別冊付録がついている! 題して「あさりよしとおの毒入りアニメ評集成」、もうちょっと詳しく言えば、その[上]。つまりあまりにも量が膨大だったので、分冊となってしまい、4月19日売の「COMICリュウ」6月号には、その[下]がつくのだ。  さらには、それにあわせて、未収録作品集『毒入り』も、リュウコミックスから3月・4月と〈カプセル篇〉〈錠剤篇〉として、2ヵ月連続刊行。毒も適量なら薬――のはず、だと思う……きっと。

 ということで、こんなところでおしまい。
 以下は恒例、私の浪費記録。こんな本漬けの人生からきっと抜けられないことでしょう。

1月中旬から2月中旬に購入した本のリストです。
2月中旬から3月中旬に購入した本のリストです。

「月刊COMICリュウ5月号」
▲月刊COMICリュウ5月号/特別定価690円
表紙:高千穂遙×たまきひさお『ダーティペアの大冒険』
別冊付録:あさりよしとお「毒入りアニメ評集成」その1

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